最終確認: 2026/10/9
結論として、地震対策は「揺れでけがをしない部屋にする」「揺れた後の火災を防ぐ」「ライフラインが止まっても数日過ごせる」の3つに分けて考えます。 台風と違い、地震は前もって予測できません。だからこそ、家具の固定や備蓄など、揺れる前に済ませておける対策が中心になります。
最初にやること:寝ている場所に倒れてくる家具がないか確認し、家具を固定するか移動させます。あわせて、枕元に懐中電灯・スリッパ・ホイッスルを置いておきます。
地震で起こること
首相官邸は、地震による被害として津波、建物の倒壊、火災、土砂崩れ、液状化現象などを挙げています。大都市で地震が起きた場合については、次のような状況が起こり得るとしています。
- 古い建物の倒壊や、外壁・窓ガラスの落下によるけが
- 通話の集中や設備の被災による、電話・インターネットのつながりにくさ
- 停電、都市ガスの停止、断水。復旧まで時間がかかる場合がある
- 道路の渋滞や寸断、鉄道の長時間の運転見合わせ
家の中の安全対策に加えて、ライフラインが止まった後の生活と、家族と連絡が取れない場合の備えが必要になります。
家具の転倒を防ぐ
首相官邸は、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などでは多くの人が倒れてきた家具の下敷きになって亡くなったり、大けがをしたりしたとして、「家具は必ず倒れるもの」と考えて転倒防止対策をとるよう呼びかけています。
配置を見直す
- 寝室や子ども部屋には、できるだけ家具を置かない
- 置く場合は背の低い家具にし、倒れても出入口をふさがない向き・配置にする
東京消防庁は、クローゼットや備え付けの家具にまとめて収納し、生活空間の家具そのものを減らすことを最初の対策として挙げています。寝る場所や座る場所の近く、避難通路や出入口付近には、倒れたり動いたりしやすい家具を置かないようにします。
家具ごとの固定方法
政府広報オンラインが示している家具ごとの固定方法です。
| 家具 | 固定方法 |
|---|---|
| タンス | 床側をストッパーなどで、天井側をポール式器具で固定。上下に分かれている家具は連結する |
| 食器棚 | L字型金具やワイヤーで壁に固定。開き戸には留め金、ガラスには飛散防止フィルム |
| 本棚 | L字型金具やワイヤーで壁に固定。重い本は下の段に置く |
| テレビ | 粘着マットを敷き、機器の裏側をワイヤーなどで壁やテレビボードに固定 |
| 冷蔵庫 | 裏側をワイヤーなどで壁に固定 |
| 窓ガラス | 強化ガラスへの交換や飛散防止フィルム。カーテンを閉めておくことも飛散防止になる |
賃貸で壁に穴を開けられない場合
東京消防庁によると、最も効果が高いのはL型金具などネジで固定する方法です。ネジ止めができない場合は、ストッパー式(または粘着マット式)とポール式の2つを組み合わせると、L型金具と同等の効果があるとしています。ポール式を1つだけ使うより、組み合わせるのがポイントです。
高層階に住んでいる場合
東京消防庁は、おおむね10階以上に住んでいる場合、長周期地震動に備えて、家具が床を滑って動く「移動」を防ぐ対策も必ず行うよう呼びかけています。首相官邸も、長周期地震動は震源から遠く離れた場所でも高層ビルを長時間大きく揺らすことがあり、東日本大震災では大阪市などの高層ビル上層階でも大きな揺れが起きたと説明しています。
枕元に置いておくもの
政府広報オンラインは、手の届くところに次の3つを置いておくよう勧めています。
- 懐中電灯: 停電した暗闇の中を歩くため
- スリッパ: 割れたガラスなどの破片で足をけがしないため
- ホイッスル: 建物や家具の下敷きになった時に助けを求めるため。少しの息でも音が出る
夜間に地震が起きると、暗い中で割れた物を踏みながら移動することになります。懐中電灯は停電時にも必要なので、停電対策の記事もあわせて確認してください。
揺れた後の火災を防ぐ(感震ブレーカー)
消防庁によると、地震による火災は電気が原因のものが特に多く、地震直後だけでなく、停電後に電気が復旧した時など、時間が経ってから起こることもあります。
避難する時にブレーカーを落とすことが有効ですが、大きな地震の時は自分で落とすのが難しかったり、留守中に地震が起きたりすることもあります。そのため消防庁は、一定以上の揺れを感知すると自動で電気を止める「感震ブレーカー」の設置を勧めています。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 分電盤タイプ(内蔵型) | 分電盤に内蔵されたセンサーが揺れを感知して遮断する。電気工事が必要 |
| 分電盤タイプ(後付け型) | 漏電ブレーカーがある分電盤に後付けする。電気工事が必要 |
| コンセントタイプ | そのコンセントの電気だけを遮断する。工事が必要なものと不要なものがある |
| 簡易タイプ | おもりの落下やバネの力で、物理的にブレーカーを落とす |
自治体によっては設置費用の補助があるため、お住まいの市区町村のホームページを確認してください。感震ブレーカーが作動すると家中が停電するので、懐中電灯などの明かりをすぐ使える場所に置いておくことが前提になります。
ライフラインが止まった後に備える
首相官邸は、飲料水(1人1日3リットルが目安)と非常食を3日分、大規模災害の発生時には1週間分の備蓄が望ましいとしています。飲料水とは別に、トイレを流すなどの生活用水も必要です。
断水するとトイレが使えなくなることもあります。それぞれの必要量は次の記事で計算方法と早見表をまとめています。
揺れたとき・緊急地震速報が鳴ったとき
首相官邸と政府広報オンラインは、揺れを感じた時や緊急地震速報を見聞きした時は、あわてずにまず身の安全を確保するよう呼びかけています。場所ごとの行動の例は次のとおりです。
| 場所 | 行動 |
|---|---|
| 自宅 | 頭を守りながら大きな家具から離れ、丈夫な机の下などに隠れる。あわてて外に飛び出さない。その場で火を消せる時は火の始末をし、火元から離れている時は無理に消しに行かない。扉を開けて避難路を確保する |
| お店など人が多い施設 | 係員の指示に従う。指示がなければその場で頭を守る。吊り下がった照明の下から離れ、出口や階段に殺到しない |
| エレベーター | 最寄りの階で止めて、すぐに降りる |
| 屋外 | ブロック塀や自動販売機から離れる。ビルの壁、看板、割れた窓ガラスの落下に注意して建物から離れる |
| 運転中 | 急ハンドル・急ブレーキをかけず緩やかに減速する。ハザードランプをつけ、道路の左側に止める |
緊急地震速報の限界
緊急地震速報は、最大震度5弱以上または長周期地震動階級3以上の揺れが予想される時に発表されます。ただし、発表から強い揺れが来るまでは長くても十数秒から数十秒しかなく、震源に近い場所では速報が間に合わないこともあります(政府広報オンライン)。
スマートフォンは機種によって受信設定が必要な場合があるため、携帯電話会社のホームページで確認しておきます。報知音は気象庁のページで聞けるので、鳴った時にすぐ気づけるよう確認しておくと安心です。
外出先では、むやみに移動しない
首相官邸は、大都市で地震に遭った場合、身の安全を確保した後はむやみに移動を始めず、安全な場所にとどまるのが基本としています。道路では余震による落下物や火災の危険があり、混雑した駅の周辺では集団転倒が起きやすいためです。発生から3日程度は救助・救急活動が優先され、混乱が続くとしています。
職場や外出先で過ごす可能性も考え、持ち歩く物は防災リュックの中身の記事を参考に準備してください。
海や川の近くでは津波に備える
政府広報オンラインによると、津波は陸に近づいても時速36キロメートル程度の速さがあり、見てから逃げ始めても間に合いません。大津波警報・津波警報を見聞きしたら、「より遠く」ではなく「より高い」安全な場所を目指してすぐに避難します。
震源が陸に近い場合は警報が間に合わないこともあるため、沿岸部や川沿いで揺れを感じたら、警報が出ていなくてもすぐに避難を始めます。津波は何度も繰り返し来ることがあるので、警報が解除されるまで海に近づかないでください。
自宅や職場の周りの津波の危険は、ハザードマップポータルサイトで確認できます。避難場所と避難所の違いは避難所の記事にまとめています。
南海トラフ地震臨時情報が出たら
首相官邸によると、南海トラフ地震の可能性が平常時より高まったと評価された場合などに、気象庁から「南海トラフ地震臨時情報」が発表されます。
- 調査中: 最新の情報に注意しながら、それぞれの状況に応じて身を守る行動をとる
- 巨大地震警戒: 日頃の備えを再確認し、すぐに逃げられる態勢を保つ。地震が起きてからの避難では間に合わないおそれのある住民は、1週間の事前避難を行う
- 巨大地震注意: 日頃の備えを再確認し、すぐに逃げられる態勢を保つ
- 調査終了: 大きな地震の可能性がなくなったわけではないことに注意しながら、通常の生活に戻る
臨時情報が出ないまま突然地震が起きることもあります。臨時情報は「出たら備える」ためのものではなく、日頃の備えを確認するきっかけとして使います。千島海溝・日本海溝沿いの地域では、マグニチュード7以上の地震が起きた後、さらに大きな地震に備えるよう「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表されます。
家族と連絡が取れない時に備える
地震の後は電話がつながりにくくなります。首相官邸は、安否確認の方法や集合場所を家族で事前に話し合い、「災害用伝言ダイヤル(171)」や「災害用伝言板」を使えるようにしておくよう勧めています。
これらは毎月1日・15日、正月三が日、防災とボランティア週間(1月15日〜21日)、防災週間(8月30日〜9月5日)に体験利用できます。一度家族で試しておくと、いざという時に迷いません。
今日からできる順番(当サイトの整理)
公的情報をもとに、手間が少なく効果を実感しやすい順に並べた当サイト独自の整理です。この順番どおりに進めれば被害を防げるという保証ではありません。
- 寝る場所に倒れてくる家具がないか確認し、移動または固定する(地震対策チェックで項目ごとに確認できます)
- 枕元に懐中電灯・スリッパ・ホイッスルを置く
- スマートフォンの緊急地震速報の受信設定と、報知音を確認する
- 水・食料・携帯トイレの備蓄量を確認する(チェックはこちら)
- 家族の連絡方法と集合場所を決め、災害用伝言ダイヤルを試す
- 残りの家具の固定、窓ガラスの飛散防止、感震ブレーカーの設置を検討する
チェックする
よくある質問
揺れを感じたらすぐに外へ逃げたほうがいいですか?
いいえ。首相官邸や政府広報オンラインは、あわてて外に飛び出さず、まず頭を守って身の安全を確保するよう呼びかけています。外では瓦や窓ガラス、看板などが落ちてくることがあります。ただし、海や川の近くで津波の危険がある場合は、揺れが収まり次第すぐに高い場所へ避難します。
揺れたらまず火を消すべきですか?
その場ですぐに消せる時は火の始末をしますが、火元から離れている時は無理に消しに行かないよう案内されています。まずは身の安全を確保することが優先です。
突っ張り棒(ポール式器具)だけで十分ですか?
東京消防庁は、ポール式器具とストッパー式(または粘着マット式)を組み合わせることで、L型金具と同等の効果があるとしています。ポール式は家具の奥側(壁側)で、天井や家具の硬い部分に取り付けます。1つだけで済ませず、組み合わせて使うのが目安です。
感震ブレーカーは必ず必要ですか?
設置が義務というわけではありません。ただ、消防庁は、地震による火災は電気が原因のものが特に多く、留守中や自分でブレーカーを落とせない時に備えて設置を勧めています。電気工事が不要なコンセントタイプや簡易タイプもあるので、住まいに合わせて検討してください。